地域コミュニティづくりに参画する分譲マンション

再開発によるタワーマンションの林立で、急激な人口増になっているエリアで、古くからの地元とコミュニティ摩擦が起こっている、と言われています。

許認可を下ろす行政側では、ファミリーマンションの建築を制限するなど、後追いの施策を出していますが、ようやく開発するデベロッパー側でも、問題の重要性に目覚めたようなマンションが造られ始めました。

 

一般に、コミュニティ支援というと、集会室を作ったり、イベントスペースを設けたり、どうしても「箱物」に頼りがちです。

しかし、スペースを作ればコミュニティが自然とできるはずはなく、運営やソフト面が重要なのは言うまでもありません。

 

豊洲で1152戸の48階建を造る東急不動産では、交流スペースを作るだけではなく、管理組合をサポートして、地域団体や教育施設、文化施設や行政とも連携した、エリアマネジメント活動を目的とする一般社団法人を作り、地域交流のサポートをすると説明しています。

街を作るたげでなく、育てることにも積極的に関わって行こうという考えの表れです。

 

そのほか、野村不動産では、分譲するマンションにエリアデザイナーと呼ぶ社員を配置して、コミュニティ活動組織の設立を支援する構想とのことです。

三菱地所でも、マンション共用部分でのイベント企画などをする等、各社はもちろん販売促進の一環でもありますが、実需を対象にした方策が出始めました。(2月26日付日経新聞)

裏側から見れば、外国資本による投資や節税対策の需要が減少してきた危機感からであるとも言えるでしょう。

 

既にコミュニティがある下町エリアの人気が堅調

日本橋や台東区など、下町エリアは、大規模開発するだけの用地が少なく、伝統も守られて昔からの町会が機能しているところが少なくありません。

多くは伝統的な祭礼や、老舗の商業、文化遺産や景勝地を守るというような、一つにまとまり易い素地があります。

 

既にあるコミュニティに入って行くのは、ある意味気楽な部分もあります。

古い町内会がガチガチに硬直化しているわけではなく、小規模な商店街や住宅地では、リノベーションで特徴を出したり、イベントを企画したり、今の若い方のコミュニティもそこかしこにあります。

 

住宅選びも、コミュニティを一から作る、または伝統あるコミュニティに入る、そんな時代になってきました。

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二