目先のトクより3代先までのトクという考え方

当社では、配偶者の亡くなられた後の、いわゆる「二次相続」のご相談をいただくことが多く、対策が間に合わないという残念な結果になることも多くあります。たとえばご主人が亡くなられる「一次相続」のときは、奥様がすべて相続すると1億6千万円分まで相続税がかからないことや、夫婦で築いた財産だから・・・とお子さん達も母親が全て相続することに賛成するケースが多いのです。今度の相続税改正は基礎控除が4割縮小されますので、1回目の相続を法定相続にして、あえて税金を払ったほうが、2回目の相続税をトータルしても安く済む、ということが起こり得ります。例えば1億円の相続財産があるとして、お子さん二人の場合、法定相続にすると現行では相続税は100万円になります。こうして払っておくと、二次相続が改正後の適用として、お子さん二人で5000万円の相続になりますので80万円の相続税、一次、二次合わせて180万円の税金で済みます。一方、配偶者が一次の時に全部相続した場合はその時は相続税は0ですが、二次相続の時は770万円かかってしまいます。孫の代まで財産を活用させたい、ということであれば、目先の税金を安くすることにとらわれないで、「損してトク取る」ことを充分ご検討いただきたいと思います。

相続人でなくても使える贈与を生かす手も

贈与は税金が高い、という認識が一般的です。しかし、こと相続対策となると、生前に贈与税を払って資産を移転しておいたほうがトクなこともあります。例えば、4人の人に毎年200万円贈与すると、10年間で8000万円の相続財産が減らせることになります。贈与税は4人分で10年間360万円、仮にこの8000万円が相続税の対象になるとして税率が20パーセントとすると1600万円の相続税です。贈与の税金を先に払い”360万円損して、1240万円のトク”をとったことになります。むしろ、法定相続人以外でも贈与できる自由さを活かして、お嫁さんや甥御さんなど、法定相続人以外にも財産を移転出来るメリットがあります。

このように、「相続対策」と一口で言っても、次に起こる相続のことだけなのか、孫の代まで考えてのことなのか、私共では、ご一緒によく考えて対策をご提案して参ります。お子さん世代ともお話をしながら進めて行けるとベストです。

代表取締役社長 竹内健二