マンション用地が「競り上がり」状態に

日本経済新聞2017年3月13日より引用

都心部を中心に、新築マンション価格が高騰しています。現在建築しているマンションは、土地の仕入れが2~3年前で、当時はアベノミクスによる円安もあり、中国資本を中心とした投資熱が過熱していました。造れば売れる、という市場で、マンション用地の値段はどんどん「競り上がり」しました。

それと同時に、復興工事や景気対策による公共工事の増加、オリンピック関
連の工事など、鉄筋コンクリート造の建築物の建築価格は、人件費の高騰もあり、みるみる上がり、土地と建物の原価が高騰して、販売価格も都心部では一般のサラリーマン家庭が購入できないレベルである坪400万円前後(80㎡の3LDKが9000万円)まで行ってしまいました。

ところが、いざ完成間際になってみると、いわゆる中国マネーによる「マンション爆買い」はなりを潜め、相続対策の購入も下火になり、一般消費者は買えない価格になった、ということで、販売に陰りが出て来ました。掲載した記事は、2017年3月13日号の日経新聞のものですが、震災からちょうど6年経った不動産市場を、うまく一言で表しています。「マンションが戸建てよりも高い」市場ということです。

戸建てが売れている理由は?

マンションは、土地の仕入れから建物の建築まで、通常2~3年かかります。その間に、経済変動があったり、金利の変動があったり、国際的な事件があったりしますと、当初計画していた販売計画は狂ってくる、2~3年の内に、更に景気が良くなれば利益も大きくなりますが、反対ですと売れ残りが出てしまうという、とてもリスクの高い事業です。

2017年の現在の市況が、投資や相続対策といった「実需以外」の購入者が消えた市場となる気配の中、都心部周縁で戸建販売が好調です。土地の仕入れから建築までの期間が短く、リアルタイムに購入者の要望に合わせやすいことが、売れている一因だとメーカーは語っています。

ともあれ、一般の購入者にとっての、一番大きな購入決定動機は「価格がマンションより安い」ことに尽きます。特に、浦安など、震災の影響が大きかったエリアは、土地の価格が安目のままになっており、木造の建築費も鉄筋ような公共工事がある訳ではありませんので、さほど高騰していません。同じエリアで、マンションより一戸建てのほうが安い時代は、過去あまりなかったのではないかと思います。

しばらくしたら、また反作用が来る?

需要と供給は、常にイタチゴッコです。新築マンションの売れ行きが悪くなってくると、価格は下落します。一戸建ては売れ行きが良ければ、地価は上昇します。そして、近いうちまた「マンションより一戸建てのほうが高い」という見慣れた市場になることが予想できます。しかし実需は、結婚だったり、お子さんの成長だったり、価格の高い安いだけで決められないタイミングの問題があります。それこそ、「運よく」か「運悪く」かタイミング次第というのも事実です。

私共では、多くの購入相談を受け住宅のお世話をしていますが、30年以上この仕事に関わってきて、いろいろな「タイミング」に出会ってきた結論から申し上げますと、投資でなく実需の場合は「いかにその物件に愛着を持てるか」が、価格の損得よりも大きな満足につながっている、という”法則”に確信を持っています。

したがって、ご相談の核心は、どんなことに愛着を持てる方か、考え方、生きて来られた体験、ご家族の在り方など、それをコミュニケーションのやりとりをする中で掴んで、専門的な知識と経験を加えてお世話することが私共の仕事だと思っております。

他人の評価や世の中の流行とは違っていても、その人だけの価値感を大切にして、これからもプライベート(個人的)なご要望にお応えして参ります。どうぞ、四方山話をする気楽さで、ご相談にいらして頂ければ嬉しい限りです。

 


株式会社すまいる情報東京
代表取締役社長 竹内 健二