こんにちは。代表の竹内です。

酷暑に加えてコロナが再燃して、お仲間との集いや旅行お預けにせざるを得ない日々ですね。

私も喫茶店で読書することが多くなりました。 

 

そんな折、お客様から一冊の本をお送り頂きました。

30歳で眼病を患い、角膜移植を繰り返したが治癒せず、全盲となって義眼を装着された48歳の女性、浅井純子さんの「目の見えない私が『真っ白な世界』で見つけたこと」という本です。

副題がすごくて「全盲の世界を超ポジティブに生きる」です

 

 

真っ白な世界というのは、全盲になった瞬間、真っ暗闇だと思っていたところ、浅井さんは真っ白に感じたそうです。

お医者さんによると、紫や青に見える人もいるそうです。

 

読み始めてすぐ引き込まれたのは、浅井さんが4千600gで生まれたのが私も全く同じ4千600gだったことと、私の義母が50代で全盲になり義眼を装着していたので、身近な話だと感じたためです。

義母も境遇を嘆くことなく、旅行やグルメを楽しんでいましたし、私も見えない人がいても、風景を愛でる言葉を遠慮したことはありません。

 

前向きは自分の後ろから今が一番幸せ、と言い切る浅井さんは、全盲になってからウクレレを始めたり、全盲のペアで社交ダンスを踊ったり、盲導犬の理解普及の講演をしたり、超ポジティブに楽しんでいるようです。

大阪のイケイケおばちゃんそのものです。

 

今現在から前を向いて進もうとしていることを、ポジティブで前向き、昔は良かったと過去を見て今を嘆くことをネガティブで後ろ向きだと、よく言われます。

 

しかし、今つらい境遇にあり、精神的にダメージを受けている人に、後ろを振り返らず前を見て行けば幸せになれる、というのは余りにも能天気なポジティブ思考だと思います。

いま落ち込んでいる人は生きる「意味」を見失っているからです。

そのような人に、頑張れ、前を向け、と言っても響かないでしょう。

 

 

浅井さんの本からは、全盲になった今が一番幸せという意識が、単純なポジティブ思考からではなく、闘病中の過去から、今と未来を見ている視線を感じました。

過去から今を見る中に、たくさんの回りの人への感謝が綴られていることから、それが分かります。

思想家の吉本隆明さんが、幸せになる秘訣を問われて、どこか現在自分が生きていることを後ろから見ている視線の中に幸せが含まれている気がする、と答えていらっしゃいます。

 

今現在から過去を見るのではなく、過去から今現在とその先にある未来を見る、この視線には、回りから助けてもらった恩や受けた愛情への感謝が連続して未来までつながっています。

それこそ、生きる「意味」の中にある「希望」ではないかと思うのです。