低層階と高層階の「不公平」解消が改正の方向へ

富裕層や海外投資家による、都心タワーマンションの購入が、価格高騰の一因と言われています。相続税が心配な方は、現金で持っているより同じ金額でタワーマンションを購入したほうが、相続税評価額を劇的に下げられることから、価格が高いほど節税効果が高くなります。なぜなら、同じマンション内で専有面積が同じであれば、現行では、5000 万円の低層階でも1億円の高層階でも、相続税評価額である建物の固定資産評価額は同じだからです。固定資産税という保有税も同じ額ですので、投資で持つ方からしたら、購入金額に対してのコストが割安になります。都心部の「億ション」完売の背景には、このような事情がありました。

このような“行き過ぎた” 節税に歯止めをかけ、税収も増やそうという動きが、政府、与党で調整されているという報道がありました。概ね20 階を目安に変化をつけると報道されています。建物の固定資産評価額が上がると影響を受ける税金は、購入する時の登記の税金である登録免許税、不動産取得税、相続税、贈与税、毎年の固定資産税など、多岐にわたります。税制の隙間を突いた投資や節税と、税制改正は、いつの時代もイタチごっこですが、一般サラリーマンの実需では7000万円が限界とも言われているマンション価格に近づくような変化が出てくるかもしれません。今国会の税制改正大綱に出てくれば、来年度から実施の可能性もありますので、都内に住み替え希望の方は、注目したいニュースです。

20階以上が1棟しかない浦安は、低層を売り物にする手も?

どんどん高層化する都内湾岸エリアに比べ、浦安の湾岸エリア(新町)は20階以上のマンションはありません。市内でも1棟のみ、一戸建て分譲地も多く、都心に近い湾岸エリアとしては、「低層の街」と言えます。都内国立市では、まちづくり条例を施行して、マンションの低層化に進んでいます。浦安のマンションが建っているエリアで一般的な用途地域は「第一種中高層地域」ですが、浦安ですと敷地が広いこともあり12 ~ 15 階のマンションが建っています。これを国立市では、同じ用途地域で約6階建てに制限する条例を施行しました(10/21日経朝刊)。低層化によって、落ち着いた佇まいの文教地区、というブランドイメージが増進されれば、それが資産価値になって跳ね返ってくるかも知れません。今回の増税案で、高層、過密化する都内湾岸地域とは一味違った、浦安ならではの不動産ブランドイメージを作る良い機会になるものと期待しています。

代表取締役社長 竹内健二