今回は、当社に寄せられるご相談の中で、割合が高い「賃貸投資」は、年々増えてきたこともあり、実例をご紹介します。

このご相談は、お寄せいただくタイミングがあります。

 

○ 定年でリタイアして、まとまった現金はあるが毎月の収入が減った不安を感じた時

○ 親御さんの遺産分けがあり、不要不急のお金が入った時で、生活費に使いたくないと思う時

○ お子さんに(特に女性のお子さんが多い)、収入になるものを残してあげたいと思った時

 

などが代表的なタイミングです。

もちろん、ビジネスパーソンの方で、昨今の超大手と言えども、いつ職がなくなるか分からない世情を反映して、自己防衛のために、いつ退職しても良いように積極的に不動産投資をされる方もいらっしゃいます。

ただし、アパート融資への締め付けが今後厳しくなると思われますし、アパート建築業者やコンサルタント会社がさかんにその手のセミナーをやっていますので、今回はその方面の事例は割愛します。

 

事例1:期待以上のメンテナンスをして高収益を上げていたMさん

賃貸投資のこれから 相談実例Aさんの所有するアパートを管理していた時のことです。

すべて当社にお任せいただいていたのですが、とにかくメンテナンスにお金を惜しまない方でした。

やり過ぎでは?と思うことも度々ありましたが、「気持ち良く借りていただきたいから」の一点張りで、入居者が期待している(多くの入居者は過去、メンテナンスをケチられたり、なかなかやってくれなかったりした経験があるので期待値は低いのですが)以上のことをやりました。

 

修理で済むものを、また壊れると困るだろうからと新品にしたり、入居者の子供の友達が訪ねてきた時「おまえんちポロだな」と言われたら可哀想だからと、ちょくちょく外壁を塗り替えたり、自転車置き場を新しくしたり、掃除に念を入れたりしました。

 

収入―経費=収益という計算式はAさんにも同じに働きますが、一般には経費をできるだけ少なくして収益を増やそうとする方が多いのです。

Aさんは反対に「収入」のほうに着目していたのです。

つまりできるだけ空室がなく、古くなっても家賃を下げないように経費を使っていたのですね。

加えて、Aさんは「人は感情の生き物である」ということもよく分かっていた人間学の達人でもあったのです。

 

私たち管理業者はトラブルが少なく満室だと管理収入も増え、大家さんはメンテナンス支出は多いですが空室が少なく家賃を下げないので収益はキープでき、おまけにメンテナンスをちょこちょこやるので建物の保ちがよく、入居者は居住性が悪いストレス・不満がなくなり、長く住むのでお隣近所とコミュニティができる、三者は本来は利害が一致している、ということを教えられたケースでした。

築30年になっても、回りの新しい物件とほぼ同じ家賃をキープして入居率は95%以上だったと記憶しています。

 

事例2:行く行くは自分や子供が使っても良いと思う物件を購入したKさん

Bさんから、普通預金に余剰資金があるのだけれど、ちょこちょこっと何気なく使っていたら目減りしてきたので、賃貸用にマンションを購入したいと相談がありました。

お聞きすると、特に賃貸投資について勉強したことはなく、何かお勧めのものがあれば、というお考えで、本格的に資産を増やすというよりは、目減りをなくし、毎月のお小遣いになれば良いということでした。

 

このような動機の場合、なるべく本人や親族が使うとしたらという視点で、趣味や老後の生活、お子さんたちの状況などをお聞きしきながらお勧めしました。

なぜかと言いますと、自分で住む家を購入する場合、投資的な観点よりも生活者としての観点で選ぶことができて、もし借り手がいなくなったらなったで、セカンドハウスや書斎、ホームオフィスに使ったり、お子さんの大学進学や就職時の臨時の住まいとして転用できるからです。

 

Bさんからは、海外旅行によく行く事や、観劇が趣味であること、ご主人の蔵書がかなりあること、学生のお子さんがIT系に進みたいことなどのお話を伺い、旅行時にホテル代わりに前泊できたり、劇場への利便性や、お子さんが終電を逃してもタクシー代があまりかからないように、都心部のワンルームマンションをお勧めし、気に行っていただきました。

 

もちろん賃貸に出して、月々のお小遣いに、という希望は叶えられたのですが、観劇のあとお友達とそのマンションに泊まって小パーティーをやったり、お子さんが今すぐそこに住みたい、などと、空家になったときの想像で盛り上がってしまいました。年間100万円くらいの賃料収入で5年位貸せば500万円になるから、元をとった気になれるので気楽ですとおっしゃっていました。

 

このくらいのスタンスが、得てして良い物件を手に入れることがままあります。

「自分で住むとしたら」という感覚的な視点が借り手の志向とも合い、投資効率優先で借り手の生活にあまり興味がない、計算ずくの投資より、うまく行く事がある実例だと思います。