人口増と再開発がセット

新聞記事では、「人口増最大」と正反対の「止まらぬ人口減」の両極端な見出しが躍ります。政令都市で最大の増加幅は川崎市で、150万人を突破しました。武蔵小杉周辺などで大規模な再開発があり、子育て層の転入者が大幅に増加したためです。人口減が続く神戸市を抜くのも時間の問題と言われています。静岡市では、清水市と合併して政令市の基準である70万人をいったんはクリアしましたが、毎年減少が続き今年70万人を割ってしまったようです。

交通が便利になったため、首都圏や大都市圏の近郊から若い人が流出しやすくなったという分析がありますが、交通の整備によって、町はきれいになったけれど過疎化が進んでしまった事例は全国にあります。

東京でも、千代田・中央・港の都心3区の人口が増え続けていて、再開発が進む渋谷、臨海部にマンションが続々出来ている江東区など、2130年頃までは人口増が続くと見られています。人口増による、学校不足、渋滞、待機児童増などの新たな社会問題が出てくるはずです。自宅や終の棲家をどこにするか、投資として持つ賃貸物件をどこにするか、住宅選びだけでなく、今後は行政サービスや施設の質量なども、調べてから選んで行く必要があります。

開発がほぼ終わった浦安では?

開発と人口増の関係性から見ますと、開発がほぼ終わった浦安市では子育て層が増えにくい、ということになります。実際の統計では、2007年から2017年の10年間で、人口は1万2000人余増えていますが、子育て層である20代~30代の人口は9000人以上減っています。老齢人口が増え、若年人口が減っているのが実態です。

住みやすい町である浦安は、一度住むと長期居住になる傾向にあります。開発が終わり住宅数は増えない、長期居住で空家も増えない、若い方が入ってきたくても「住む家がない」という要因が大きいと考えます。今後のことを考えますと、若い人が一定数増えてきて、世代が循環して行くのが活力の面でも、財政の面でも望ましい姿だと思いますが、分譲住宅を増やすのはなかなか難しいでしょう。多摩ニュータウンや全国のニュータウンに見られる「一斉入居、一斉リタイア」という状況から抜け出して、浦安が子育て層もお年寄りもバランス良く住みこなす町になるには、受け皿である「若い方向けの住宅」の整備が必要であると考えます。

保育園を作るという「賃貸投資」も出現

保育園用地の市への持ち込みが殺到している市があるようです。それは、建築費の補助があるためで、東京都でしたら建築費の3/4が補助金で賄えます。その他、公共的な建物でしたら固定資産税を減免したり、財政不足の行政側は民間に建ててもらう見返りを出しても活用したいということで、地主は投下資金が減るため利回りが良くなり、利害が一致するというわけです。都では、いずれ子供が減少した時に、保育園を老人施設に転用する規制も緩和しています。

住宅不足のところでは、増やしたい住民層に合わせた住宅投資をする、保育園が不足するところでは保育園投資をする。今までのように、ただアパートを建てて入居者を募集するという時代は終わりであると思います。これからは、求める人に応じた投資で、投資家・行政・利用者の三方良しの投資、私は社会投資と呼んでいますが、投資家の利回りだけを追求するものから、このような他者への貢献がベースとなった社会投資が中心になることに希望を持っています。

当社でも、駅から遠くて一般的なアパートにはあまり向かない土地に、投資家の方に障害者の自立支援用アパートを建てていただき、当社で管理運営している実践例があり、三方良しの、このような社会投資の研究を進め、実践のお手伝いを今後もして行きたいと思っております。どなたかのためになる貢献に基づいた社会投資にご関心がある方は、ざっくばらんにご相談いただければと存じます。

 


株式会社すまいる情報東京
代表取締役社長 竹内 健二