日本の各地で災害が頻発し、建て替えが促進か

老朽マンションの建て替えは、所有者の費用負担や工事中の仮住まいの確保など、課題が多く、住民の話し合いだけで進めるのは難しい面があります。

全国で600万戸ある分譲マンションの30%、約180万戸が東京に建っています。

日経新聞2018年8月19日より

東京都では、この180万戸のうち、旧耐震基準で建てられたマンションの建て替えを推進して、首都圏直下型地震などの災害に強い街づくりに乗り出し、2019年度にも制度を創設すると発表しました。

その制度の骨子は、住民だけでは難しい建て替えに不動産デベロッパーを積極的に活用して、「玉突き」建て替えを進めるプランです。

 

例えば、デベロッパーが買い取った老朽マンションを建て替える場合、別の場所の老朽マンションを買い取れば、容積率(土地の面積に対して建物を建てられる面積の割合)を上乗せして、今まで建っていた老朽マンションより大きな建物を建てられるようにする、というものです。

 

容積率を上乗せしてもらうために買い取った別の老朽マンションを建て替える時にも、さらに別の老朽マンションを買い取れば、同じように容積率を上乗せできます。

ゆえに「玉突き」建て替えと言われます。建て替え以前より「建て増し」した分を販売することで、デベロッパーも利益が確保できる、という積極策と言えます。

 

 

老朽マンションが、意外な投資対象になるかも

都内の便利な立地にある、築50年前後のマンションの相場は、25㎡前後のワンルームで1000万円~1500万円です。

これを貸していると家賃8万円前後ですから利回り7~9%くらいが多いのですが、新築すると、おそらく坪400万円、3000万円前後になるのではないかと予想できます。

 

建て替え対象となれば、買い取り価格も上がるかもしれませんので、建て替えまでは賃料収入を得て、建て替えが決まったら売却益を得ることを狙った投資が増えることもあるかも知れません。

ここは是非、何でも新しくすれば良いと言った、建て替え有りきではなく、その地域の文化に合った建て替えを進めて、地元住民と共に発展してもらいたいところです。

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二