売れない土地を手放す新制度

先月4月27日から、不要な土地を国庫に帰属させる新制度の申請受付がスタートしました。

これから具体的な事例が集まってきて、「もらってくれるのか、ダメなのか」基準が明確になって来ます。

継続的に情報をお伝えしたいと思います。

 

この制度の基本理念は「価値ある土地は相続し、不要な土地のみ手放して国庫に帰属させる」というものです。

国に引き取ってもらう方法として、相続税を土地で納める「物納」がありますが、基本的な考えが異なり全く別物です。

 

相続土地国庫帰属制度もスタート、相続した不動産を手放す決断のときは物納は、国が国有地払い下げとして売るために、かなり厳格な要件があり、測量などもしっかりやらなくてはなりません。

一方、相続土地国庫帰属制度で不要な土地を国が引き取るのは、そもそも利用価値が低く売れない土地を国が引き取るので、売ることは考えずほぼ永続的に国が管理することを前提としています。

従って多額の費用がかかる測量などは求められておらず、境界争いさえなければ、境界は目印程度でも良く、地図に土地の場所の印をつけたレベルでも可能性があります。

換金価値のない地方の土地、管理に費用がかる相続した土地などを手放したい方にとっては、関心が高い制度ですね。

 

不要な土地を何とか自分の代で処分して子供たちに引き継がなくてよくしたい、という気持ちに応えられる制度であって欲しいと思います。

 

 

法律不適合物件を手放すとき

相続した物件で、先代、先々代が買ったときの建築基準法では合法だったが、法律改正で今は不適合になってしまった物件、たとえば斜面の崖とか、道路が狭い、袋地になっている、市外化調整区域に指定されて家が建てられないなどの不動産も、どこかのタイミングで処分したいと思っていらっしゃる方の相談も多くあります。

 

不要とまでは言わなくても、持っていてもさほどメリットを感じず、空き家に対する税制も厳しくなる一方、相続した物件ですが、法律が変わってしまえば仕方ない、親も認めてくれるだろうと決断しやすいようです。

 

 

賃貸物件を手放すとき

親から相続したアパートや賃貸マンションを手放す方は、40代、50代の方が比較的多いです。

親が「将来は収入の扶けに」と思って購入した物件を手放すのは、忍びない気持ちもありますが、ご主人は中間管理職で激務、奥様もお子さんが受験期で家事も大変忙しく、賃貸物件の管理が重荷になって売ろうという決断をされます。

 

概ね築30年から40年経つ物件が多く、故障や補修が度々あります。

正直「構ってられない」という気持ちもあるでしょう。

親が残してくれた賃貸物件も、お子さんの教育費に代われば、立派に役目を果たしたことになるものと思います。

 

70代以降の方は「終活」の一環で売る決断をすることが多いです。

現金化しておいて、相続の時に分けやすくするケースです。

このご相談の場合は、全体の資産状況と遺産分けの方針をよく伺って、税金対策まで含めてアドバイスさせて頂きます。

 

 

実家を処分する決断

相続した実家を処分するケースが、一番心理的にハードルが高いかもしれません。

自分が育った家でもあり想い出という無形資産があるからです。

とは言え、人に貸すには多額のリフォーム代がいる、空き家で管理が大変、という悩みもあります。

 

ご兄弟が賛同してくれれば心強いてしょう。

できれば、親御さんは遺言書で「相続したら換金して分けるように」指示してあければベストです。