ハルミフラッグの影響はどこまで?

今年開催される東京オリンピックの選手村を活用する分譲マンション「ハルミフラッグ」の販売が昨年より始まり、いよいよ分譲が本格化する年です。

 

分譲エリアは、シービレッジ、パークビレッジ、サンビレッジの3街区で4115戸、さらに高級賃貸街区のポートビレッジが1487戸で合計5602戸、一戸当たり3~4人家族とすると、2万人近い人口の街が出現します。

 

新浦安に置き換えてみますと、美浜、入船の分譲7団地で合計5088戸、日の出・明海の分譲マンション合計で5975戸ですから、その巨大さが分かります。

新浦安が、それだけの戸数を10年くらいかけて分譲してきたのを、ハルミフラッグは数年で分譲しますので、街の成熟が追いつくか不安視する向きもあります。

 

眺望が良くグレードの高い街区が、100㎡で9300万円前後、83㎡で7500万円前後ですから、中央区の新築平均より2000~2500万円は安くなっています。

ところが昨年の販売状況を見ると「殺到」というほどではなかった様子です。

 

分析会社は、最寄り駅の勝どき駅まで徒歩20分という点と、入居できるのが3年後で、その間の社会変化に対する不安があるのではないかと見ています。

安くて投資向きのようにも感じますが、投資購入も少ないようです。

 

今年売り出す、前に建物があったりグレードが落ちる街区が、5~6000万円台という予想もあり、「便利な場所の中古より安い」点で、殺到現象が起きるかどうか、注目されています。

 

多様な価値観、多様な家族構成の一極に

かつてのニュータウンは、働き盛りの子育て層のために造った街ですが、少子化、高齢化の波で過疎化しているところもあります。

当時とは価値観も家族構成も大きく変わり、一人住まいの増加や職住近接、外国人観光客の増加によるレトロな街や建物の再発見なども増えています。

コンパクトシティの実験の要素があるハルミフラッグと、既存の街の良いところが刺激しあい、互いに活用できることが、東京の将来に良い影響を与えることを願っています。

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二