2月21日号の日経新聞記事より

前回のこの欄で、埼玉県日高市の戸建団地が「限界集落」化している事例を取り上げましたら、先日の日経新聞にも「憧れの郊外、迫る限界集落」という記事が出ました。いわゆるニュータウンは、1960~70年代の高度成長期に、郊外に開発された大規模団地で、学校や商業施設が一体になった、一つの街です。東京の多摩ニュータウン、大阪の千里ニュータウンはじめ、主に鉄道系の民間事業者が開発した郊外の戸建団地が全国にあります。

共通する特長は、一斉入居から30~40年経ち、住民の高齢化が進んでいること、二世の独立で少人数家族が増え商業施設の撤退による「買物難民」といわれる減少が起きていることです。また、開発地ゆえ、アパート建築不可や分割禁止、商店禁止など、建築制限が厳しく、景観や環境の維持には良かった規制が、住宅の流動性にブレーキをかけて、人の入れ替わりが起こりにくくなっていることも共通しています。

浦安中町にも共通する課題とは

浦安中町の分譲地も、開発された時は、京葉線が開通していなくて、文字通り「郊外ニュータウン」の一員でした。その後、京葉線の開通やテーマパークの出現などで、一気に「準都区部」と言えるほど便利になり、また平坦な土地柄もあって「交通難、買い物難」という、郊外ニュータウン特有の現象はあまり意識されなくなりました。

ただし、建築規制が厳しいことと、開発地ゆえの未利用地が少ないことで、住宅や人口の流動性が低い点は、同じ課題であると考えられます。分譲中心の新浦安では、若い方が結婚して新居を構えようと思っても、意外に対象となる賃貸住宅は少なく、また新たに建てる用地もありません。一戸建てを購入するには資力が足りず、海側は広すぎるため高額になってしまい、わずかに新浦安周辺の公団マンションとUR賃貸が受け皿という現状です。

今後、浦安で必要とされてくると言われている、グループホームやシェアハウスなども、用地の点でなかなか難しいようです。舞浜から新浦安に広がる、中町の戸建て団地の今後の取り組みが、全国的な郊外型ニュータウンの高齢化と若年人口減少という課題にとって、大いに注目されることになるでしょう。私共も実務の現場から出せる知恵や提案を出して行くことを求められる時代になってきました。

代表取締役社長 竹内健二