道路修復工事で液状化の跡が見えにくくなってきた中町、新町

地籍や境界確定にはまだ時間がかかりそうですが、インフラ復興工事の仕上げの道路修復作業が、浦安の中町、新町で進んでいます。液状化による道路の凸凹や補修跡も消えて、見た目は震災の記憶が薄れ、土地を購入する方も心理的なバリアが薄くなるものと思います。実際に、震災年の2011年10月からの1年間と、2015年10月からの直近1年間の、土地、一戸建ての取引量を見ますと、1.6倍(2011年50件→2015年79件、レインズ調べ)になっており、復興工事と並行して、低金利政策などの影響もあり、取引は活発になって来たと言えます。実際の取引される価格は、マンションは震災前の価格に戻りましたが、土地はまだそこまで戻っていないとは言え、実勢価格で10 ~ 15%は戻りました。震災の傷跡が見えなくなり「見た目」がどの程度地価に影響してくるのか、来年はもっとはっきりしてくるでしょう。

元町や357号線北側の土地、一戸建て取引が活発化、その訳は?

直近、1年の土地、一戸建て取引を見てみますと、元町および357号線北側の中町(東野・海楽)エリアの取引が7割近くになります。このエリアは、土地の面積に対して建てられる建物延面積の限度(容積率)が150~200%の地区が多く、新町や357号線以南の中町と比べると、小さな土地で同じ面積の建物が建てられる地域です。約120㎡(36坪)の家を建てたい方は、30坪の土地があれば良いのです。新町、中町の分譲地が50坪として、坪100万円の土地であれば、2000万円予算が少なくて済みます。50坪の分譲地に広々とした庭付きの一戸建て、というのが浦安開発のコンセプトの一つですが、共働きで庭の世話をする時間が無い、公園がたくさんあるので自宅で緑を愛でなくても良い、駐車場だけあれば問題ない、という割り切った考えの方も増えているようです。庭のために2000万円のローンは背負えない、というわけです。現に、地区計画のない新町、中町のエリアでは、50~70坪の分譲地を細分化した建売住宅が目立ってきました。それだけ購入する方がいるということでしょう。

今後の浦安は、不動産環境の変化と相場が連動するようになる?

名古屋エリアの不動産相場が上がり好況なのは、トヨタの好業績による社員の購買が増えたため、と言われています。浦安でも、地価が上昇し、資産価値が上がるのと並行して、景気が良くなり購入者の所得も上がって行くことが、緩やかな変化の中で環境が維持されて、その環境が地価を維持するという好循環につながって来るのだと思います。新浦安のマンション価格が、いち早く震災前の相場に戻り、物件によっては震災前より高くなっているのは、「環境が確定している」面もあるかも知れません。新浦安の大規模マンションは、建物だけでなく、敷地内の公園や共用施設など、一つの団地で環境が自己完結していて、土地の分割もなければ、隣にアパートが建つということもなく、外部の変化を受けにくくなっています。それが生活をする上での安心感につながり、相場を安定化させている面がある、と私は考えます。新浦安を買う方の多くは、利便性と環境を買う方が多いので、復興工事で「元に戻す」だけでなく、経済の変化が激しい時代なりの新たな環境について考えて行きたいと思います。

代表取締役社長 竹内健二