中古マンションが株価連動だとしたら

都心部の中古マンション価格は、日経平均株価(以下「株価」)とほぼ同じ動きをしていることは、よく知られています。

2020年初24,000円位だった株価は、2月下旬に急落、一時16,000円台まで下がりました。

コロナ禍という未経験の事態に、不動産は暴落するという悲観的な論調が主流でした。

しかし、5月初旬の緊急事態制限解除の頃から20,000円に戻り、8月下旬は年初とほぼ同じ23,000円台に戻ってきました。

 

モデルルームが閉鎖された新築は実質販売停止状態でしたが、中古マンションはテレワークという新たな常態(ニューノーマル)が明確になってから、活発に動き出しました。

株価連動のセオリー通り、安く買えたのは、3~5月のわずか3か月だった様子です。

 

新築マンションにも「ニューノーマル」の波が

今年後半から売り出される新築マンションは、共用スペースにホテルのようなビジネスセンターを設けたり、間取りは一部オーダーメニューにして書斎を作れるようにした物件が出てきます。

自宅で仕事をする「ニューノーマル」に合わせた方向転換です。

 

また、訪日観光客需要でホテル用地や商業地売買が土地の高騰を招いていましたが、訪日観光客関連は全滅状態、今後はデベロッパーが手頃な価格で土地を仕入れやすくなりますので、場所によっては手頃な新築が売り出されてくるかもしれません。

 

全滅状態と言えば「民泊」ですが、狭い部屋に二段ベッドをいくつも押し込んだドミトリー(共同寝室)形式の民泊物件は転用が難しいようですが、立地の良い一部の民泊は、シェアオフィスに転用し始めています。

ムードに乗った投資の恐ろしさを感じますが、立地や建物が、市場の変化に応じて多用途に転用可能かどうか、今後の投資のポイントになると思います。

 

賃貸市場では、自宅では仕事部屋を確保できない人が、ワンルームマンションを借りて仕事部屋にするなど、飽和気味だったワンルーム市場にも新たな需要が出ています。

 

また、テレワークでオフィス需要が激減するという論調が多かったですが、出社人数が半分になっても、机の間隔を2倍にすると同じ面積が必要という会社もあり、具体的な変動が現れるのは、年末にかけての頃ではないかと思います。

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二