「縮む」都心の住宅

高騰し続ける都心部の新築マンションの専有面積がどんどん狭くなっています。

総価格を抑えるために面積を小さくする、いわゆる「隠れ値上げ」ですが、建築費の高騰や地価の上昇により、当面新築マンションの高騰は続きそうですから、一般家庭向けのマンションの専有面積は小さくなる一方かもしれません。

 

広さを求める子育てファミリー層は、東京多摩地区、川口などの埼玉県南部、浦安などの千葉県西部、川崎などの神奈川県東部というように、都心部近接地域に移動する傾向が顕著です。

 

一方、シニア夫婦や子供がいない夫婦、単身者など、広さを求めない方たちが都心部に向かっています。

出生率でみても傾向は顕著で、全国平均1.36人のところ、千葉・埼玉・神奈川など周辺部は1.28人、東京は1.15人となっています。

 

 

都心部にファミリー層が戻るには

平成バブル時も、今まで70㎡が標準だった3LDKが60㎡に縮んだことがあります。

当時はあまり無かったもので、今はあるものが「シェアオフィス、リモートオフィス」や空調のしっかりした屋内レンタル倉庫です。

部屋を広くすることは物理的に無理なので、住宅の機能のうち「仕事部屋」と「収納」を外部に出したサービスです。

 

折しも、新型コロナにより「シェアオフィス、リモートオフィス」が増えましたが、アフターコロナにおいては、住宅の狭さをカバーする役割に代わってきました。

図書館や公共施設、ホテルなどが充実した都心部であれば、住宅はシンプルにミニマムに抑えて、必要なことは外で済ます、子供部屋は二人一緒というライフスタイルが広まってくるかも知れません。

 

新築マンションの中には、既に共用施設としてワーキングルームを備えた物件も出てきています。

これから、縮む住宅問題の解消に向けた様々なサービスが出てくるのではないかと思います。

 

住宅かオフィスか、という不動産利用のカテゴリーに入らない、ライフスタイルも含めた、かなりダイナミックな変化が起こってきそうです。 

 

 


すまいる情報東京 代表取締役社長
竹内 健二